食わず嫌い王子 05 金城 有紀/コミュニティーナース

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食わず嫌い王子 ~あなたの殿下がここにいる!かも?~

ヨーロッパやアメリカでは「現代のモーツァルト」として高く評価されリスペクトされる一方、日本の一般層には「プリンス?誰それ?」状態。そんな時代に、究極のお節介企画、『食わす嫌い王子』。プリンスをあまり聴いていない方、存在自体知らない若い世代に、「殿下の音楽は届くのか?」実験的インタビューをここにお届けします。

05 金城 有紀さん/コミュニティーナース

ゆきまる🏝OKINAWA☀️ (@SHUMMEISM) | Twitter

ーーーこんにちは、紫大学です。企画へのご参加、ありがとうございます。まずは金城有紀さんの自己紹介をお願いします。

 

金城:わー、こんにちはー!ドキドキです。はい、私、「ゆきまる」こと金城有紀(きんじょうゆき)と申します。沖縄に生まれ、沖縄に愛し愛されたピチピチの34歳。愛しい愛しい8歳の息子とふたり、今現在も沖縄で仲良く暮らしております。職業は「病棟にいないナース」コミュニティナースとして地域をうろうろしています。

 

ーーーありがとうございます。お母さまとしてしっかりお子さんを育てながら、医療者としても活躍されているんですね!「コミュニティーナース」というお仕事にとても新鮮な響きを感じたのですが、病棟にいないナースとして、具体的にどのような形でご活動されているのでしょうか?

 

金城:はい、コミュニティナースの働き方としては、本当に100人100色なので「私の場合は・・・」に限らせて話をさせていただくとですね、例えば、村の公民館に行って、介護予防教室をしたり(その際、血圧を測ったり、健康相談を受けたりします)村の乳幼児検診に出たり、80歳以上の高齢者の皆さんとバスに乗って、ピクニックにいったりしています。あとは、公設市場の夜市で、市場のお肉屋さんで購入したお肉を七輪で焼きながら健康相談に乗る「七輪ナース」をしたり、、、笑 屋台を作って古民家でカフェを開いて健康相談にのったり、、、「健康」に限らずですが、地域にこちらから出て行って、地域の方々と交流する、という感じでしょうか?やってる私自身、うまく言葉にできない仕事をしています。

 

 

ーーーなるほど、まさに生活の動線上のナースですね。七輪ナースに、体操に、カフェ!だから話しかけやすいお人柄なんですね。興味深いです。ふだん好まれる音楽や愛されている音楽はありますか?

 

金城:好きな音楽。流行りの音楽はあまり聴かないですね。洋楽はほとんど聞いたことがなく、一度めちゃハマったことがあるのはBilly Joel のWe Didn't Start the Fireという曲です。

  ひとりの歌手、というか一つの曲、にものすごいハマることは多いです。チャゲアスの、しかも、YAH YAH YAH ぐらいまでの曲が好きですね。歌詞も含めて。尾崎豊、、、とか、、BOØWYとか、、中島みゆきとか山口百恵とか、、尾崎豊だと「失くした1/2」というあんまり有名じゃないんですが、これが一番好きです。あと「COOKIE 」とか。BOOWYだと「DREAMIN'」。

 あ!クレイジーケンバンドはファンクラブにもはいっていました(笑)気合を入れる朝は映画「プリティウーマン」の曲をかけて身支度をします。基本「色々あったけど明るく気丈に立ち上がる系」の曲が好きですね。

 あとラテン系の音楽はずっと踊ってられます沖縄民謡も含め踊りたくなる曲は無条件に好き、という体が勝手に踊ってしまいますね。うちなーんちゅなんでしょうね(笑)ああ、槇原敬之宇多田ヒカルも大好きです。あ、ウルフルズも好きです!困った、色々出てきちゃうなー。音楽は聞かない方だと思っていましたが、結構聞いているなーと思いました。流行りにのれていないだけで(笑)

 

ーーーいいですね、ジャンルやスタイルにとらわれることなく、次から次へとどんどん出てくるのが楽しいです。音楽と共にあったのが凄く伝わりますし、教えてくださったタイトルも検索してみたいと思いました。

 そして、「踊りたくなる曲は無条件に好き」の言葉に、沖縄を感じてしまいますね!この企画では3曲をおすすめするのですが、この会話から最初の1曲は、「金城さんが踊りたくなるかどうか?」を基準に選んでみようと思うのですが、いかがでしょう?

 

金城:めっちゃステキです♪よろしくお願いします。踊りたいです♪

 

ーーーではでは、これはちょっとした変化球なのですが、こちらをご紹介します。Ryuichi Sakamoto feat. Jill Jones - You Do Me 

 

 

金城:めっちゃ良き!です!ありがとうございます!オープニングでとても引き込まれました。そのあと、女性にとてもセクシーさを感じていたのですが、うちなー音階が入った時にDNAがざわつきましたね!感情としてはうれしさ。でしょうか。そのあとは女性のことが他人事ではなくなりました。セクシーさプラス力強さ、を感じました。なんでしょうね。最後のフェードアウト感に「もっと聞きたい!」と思ってリピートして聞きました♪

 

ーーー良かったです。「変化球」と記したのは、これはプリンスではなく、坂本龍一さんの曲なんです。ですが、ボーカルの女性、ジル・ジョーンズはプリンスがずっと育ててきたファミリーの一員で、プリンスの映画やPVに出たり、彼のプロデュースでソロアルバムも出しています。そして何より、坂本龍一氏のセンスが凄い!沖縄民謡とファンクの奇跡的な融合、みたいな。

 

 

金城:あの坂本龍一さんの曲なんですね!

 

ーーーそうなんです、坂本龍一さんは、音楽家として歴史に残る存在であることはもちろん、沖縄音楽の魅力を世界に伝えた功労者でもありますよね。沖縄民謡をご自身のサウンドと見事に調和させつつ、でも「誰も聴いたことがないような音楽」になっててビックリ。

 

金城:たしかに、こういうのは初めて聞きました。思わず私も踊っちゃいました(笑)

 

―――僕も沖縄の友人の結婚式に出たことがあるんですが、みんなで沖縄民謡で踊って、ライブみたいに大盛り上がりで終わって、なんともいえない興奮を味わったことごあるんですが、沖縄の皆さんのあの肉体性というか、身体文化は、もう生活の中で当たり前にあることなんでしょうか?東京だとカラオケなんかでは盛り上がるけど、「さぁ、みんなで踊ろうぜ!」とはなかなかならないもので。

 

金城:もちろん人にもよるとは思いますが、踊るのは嫌いじゃないと思いますね。結婚式も「かぎやで風」という踊りではじまり、テンポの速い「カチャーシー」をみんなで踊って終わる、というのが定番になります。高校生の頃の放課後の過ごし方も、那覇よりも海が近いところは、ビーチに行って、誰かが三線を持ってて、誰かが弾けて、誰かが歌えて、誰かが踊れる、みたいなのは普通だと思います。私は音楽は何にもできませんが、カチャーシー(定番の踊り)は同世代では上手い方だと自負していますね。

 

  あと看護師として高齢者のお宅に訪問することがあるのですが、寝たきりのおばあちゃんでも、民謡を流すと踊り出したりして「起きれるじゃん!」みたいなコントのような場面も何回も見たことがありますね。リハビリの現場でもそう。「踊れはするけど、歩けない」というコントのような本当の話がたくさんあります。やっぱり「血が騒ぐ」的なものはあるように思いますね。

 

ーーーそれはめちゃくちゃ興味深いです。僕は医師でもあるんですが、「寝たきりの沖縄の高齢者でも沖縄民謡で踊れる!」「リハビリで踊れるけど歩けない」って、これ、脳の中に何十年ってかけた神経回路ができてるってことですから!

 何らかの原因で健康が損なわれたとしても、長年生活の中にある音楽がその人の生活を回復する、そんな可能性があるわけです。いやー、凄いな、スタートから面白いです。

 

金城:ホント、おもしろいですよね。背中曲がったおばあちゃんが音楽が鳴り出すとシャンとして踊り出して、踊り終わったら、普通に(曲がってる)に戻ってる、、、とか。介護福祉の現場では、もう毎日がコントのようです。

 

ーーー毎日がコント!それ、沖縄の現象として学会発表すべきレベルの話ですよ。そしてリハビリや介護の場面でも「その人の音楽療法」と組み合わされるべきです。プリンスで始まったお節介企画が、凄いところまで来てしまって、僕自身驚いているんですが・・・。

 

金城:学会発表したいですね!データ集めます!

 

ーーーぜひよろしくお願いします。さて、この流れで?2曲目に行ってみたいと思います。こんなのが聴いてみたい、といった希望はございますか?

 

金城:そうですね、もっともプリンスらしい曲、ってありますか?これぞ、プリンス!的な。聞きたい曲って、その時の感情や一緒にいる人で変わったりすると思うのですが、もっともプリンスらしい曲、聴いてみたいです!

 

ーーーでは、2曲目はこちらで参りましょう。もっともプリンスらしい曲かどうかはわからないんですが、代表曲の1つであり、金城さんとの会話の中から、閃いた曲がこれでした。The Most Beautiful Girl In The World。

 

 

金城:すごくステキな曲ですね、もうホント率直な感想になってしまいますが、一度どこかで聞いたことあるけど思い出せない懐かしさを感じました。そしてなんだろう、私は母を亡くしているのですが、母がいた時に感じたような心強さを感じる曲です。安心して前進できるような、そんな感覚を持ちました。

 

ーーーそうでしたか・・・お母さまの心強さ、安心感を思い起こされたんですね・・・。なんとも言えない気持ちになります。ありがとうございます。

 

金城:こちらこそです。このビデオも素敵ですね。いろんな人が出てきて。

 

ーーーこの映像を撮影する前にプリンスは広告を出したんです。「世界でいちばん美しい女性を募集します」って。それで応募して選考に残った女性たちに「自分の夢が叶った映像」を撮ってあげたんです。このビデオは、それぞれの女性が「自分の夢の映像」を自分で観ているところを撮影したドキュメンタリーになっていて。

 

金城:ドキュメンタリーなんですね~。

 

―――はい、コメディアン、歌手、結婚と出産、デザイナー、教育者・・・自分が心から好きなことをやっている時の表情、それを見ている時の表情を記録したんです。「心からやりたいことをやってる女性」、それが「世界でいちばん美しい女性」なんだよ、っていうメッセージになっているんです。

 

金城:なるほど〜。だから希望に満ちたような、肯定されているような感じを受けたのかもしれません。なんか一歩を踏み出せるような、勇気づけられるような・・・。プリンスすげぇ!この映像、改めて見てみると、ホント、泣けてくるくらい勇気づけられますね。私はコミュニティナースとして写真も撮っていて。フォトグラファーでもあるんです。

 

―――おおお、フォトグラファーも!多彩だなぁ!

 

金城:授乳中のお母さんたちって、ワンオペで育児をされていたり、睡眠不足だったりして、一日中こどものために一生懸命に動いているのに、社会からは取り残されたような感覚を感じたりして。しかも6ヶ月近くも3時間に一回とかの割合で昼夜を問わず授乳しているのに、その時の写真がなかったりして。あってもスッピンで寝不足で家着でボロボロな感じだったりして。だけど、私は授乳中のお母さんって本当に美しい存在だと思っていて。その時を残すお手伝いをしています。

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「今は終わりが見えなかったりするかもだけど、母としても女性としても、今とっても美しいよ」って、気づいて欲しくて。だから、プリンスもそんな感じに思ったりしたのかなーと。

 

ーーーそれは凄いリンケージです。プリンスは世界一美しい女性を募集した。でも彼が伝えたかった美しさとはcome from inside、つまり内面から来る美しさだった。見た目の美しさが到底及ばない次元のものです。

 ただ、言葉では言えちゃうじゃないですか、「内面が大切だ」とか。それを実際にセットを組んで、映像に撮って、本人に見せて、「あなたは美しい」って言葉を使わずに伝えてる。そこがこの作品のすばらしさだと僕は思うんです。コミュニティーナースである金城さんも、授乳中の親子に美しさを見出して、それを言葉じゃなくて写真と撮影という形で伝えている。

 

金城:ですです。めっちゃおこがましいですが、プリンスにそうゆう共通点を垣間見ました。私はこの「授乳フォト」の撮影は「ケア」の視点でも撮っているつもりでいます。写真を撮る時はわざわざ「看護師」は名乗りません。あくまでも主役はお母さんで、撮影の一時はお母さん自身の美しさとか強さとか(決して強要する強さではなく)が感じ取れるような写真に仕上がるよう心がけています。

 

―――お母さんが主役。素晴らしいコンセプトですね。

 

金城:音楽や写真、アートは、本人さんの持ってる力を引き出すパワーを持っていると思っています。プリンスにも同じようなナーシングマインドを感じました。エンパワーメントのチカラ、信じる力、というか。

 

ーーーおっしゃる通りで、プリンスは引き出すパワーが半端ないです。ロージー・ゲインズという、めちゃくちゃ歌が上手い女性シンガーがいるんです。

 彼女がプリンスのバンドに加入した時、プリンスは彼女にキーボードを弾かせようとするんです。でも彼女は「私、キーボード弾いたことないから・・・」って消極的になっていたら、「できるさ、キミなら、きっとできるよ」って無茶振りされて、すぐにツアーに出た(笑)

 

金城:なにそれすごい!

 

―――だから、金城さんのお話を伺っていると、本人の力を引き出すって、「その人を信じる」とセットなのかも?って思いました。

 

金城:そうですね、なるほどそうかも。そういう意味では、「信じてる」かもしれないです。でも、今の今まで、私は人を信じれない人だと思っていました。けど、逆にプリンスの話を聞いて、「あ、私って人のことめちゃめちゃ信じてるんだ」と気づかされました。ちょっと不思議な感覚です。

 私は人を信じることに対してすごい恐れている時があります。なので、全部自分で抱え込んでしまったりとか・・・。プリンスのようには信じきれてないのかもしれません。大切な人、身近な人ほど、信じるのを恐れている?と感じる時があります。プリンスはそのあたりはどうだったのでしょうか?

 

ーーー金城さんが、お母さんたちの授乳の写真を撮るとき、「その姿こそ美しいんだ」って信じていると思うんです。被写体のお母さんがそれを信じてなくても、金城さんはそれを信じて、美しさを既に見つけてしまってるような。

 

金城:それはめっちゃわかります!その自信はすごいあります!

 

―――そう考えると、人を信じるって、その人のことを信じてる自分を信じる、ってことなんじゃないか?って。プリンスをみていて感じる瞬間があるんです。彼の最初の主演映画、パープルレインを撮影してる時も、プリンス以外は、この映画は失敗するだろう、って思ってたらしいんです。でも、共演者いわく、「ご本人は1000%信じきってた」らしい。

 

金城:えーーー!1000%ですか!!!

 

―――それだけ、もてる時間、スキル、情熱、エナジー、スタミナなど、全部を投入したんじゃないでしょうか?信じられるところまで、真剣に本気でやった。だから「俺が見つけてきたやつ」は信じられる。逆に言えば、自分を信じずに、他人を信じるということはなかったのかも知れません。

 

金城:それ、めっちゃわかります!「自分が見つけた人間」はすんごい信じられます。私、自分に自信はないけれど、そういう意味では自分が「これだ!」って思ったことは、周りにどう言われても突き進めて、そういう意味ではすんごい「自分を信じてる」っていえると思います。

 みんながどれだけ「給料も安定してるし、病院で働いてこそ看護師でしょ」って言ってても、「いや、これからは絶対地域だ!」っていう自信?みたいなものはブレたことないんです(笑)これなんだろう?結局はめっちゃ自分を信じてるということでしょうか?自分の未来を信じてる?でも、めっちゃプリンス親近感です。超勝手ですが。すんごいわかります!なんかすごいワクワクしてきました。

 

ーーー僕のほうも、「信じる」について、今改めて考えるきっかけになっています。金城さんは、何があろうともコミュニティーナースとしての道を歩むことに迷いがない。他はいくらでも譲るかも知れないけど、ここだけは、この領域だけは、誰に何を言われようが譲らないし、譲れない。もしかしたら、「自分を信じる」とは、自分全体を闇雲に信じることではなくて、コミュニティーナースとして輝いてる自分を信じている。そんな感じではないですか?

 僕は、僕よりも詳しいひと、できる人、凄い人について、全く気にならないんです。他の領域では。むしろ仲良くなりたいし、学びたいんですね。でも、格闘技医学だけは、またプリンスをボジティヴに伝えることだけは、「勝手な使命感」みたいなものがあるんです。「俺が先頭になるんだ」という気持ちも全く無いわけじゃないですが、それよりももっと強いのは「それらが間違った形で行使されるのはまずい、だから僕がやらなきゃ」みたいな使命感です。それを勝手に背負ってる。勝手に、です(笑)だから、金城さんがその景色が見えてる、ってのは、すごくわかるし、それこそプリンス的な気がするんです。

 

金城:わ!わわわ!まさに!めちゃそんな感じです!

 病棟で働ける採血がめっちゃ上手なナースはたくさんいると思うし、なりたい人もめっちゃいると思っていて。そこはみんなに任せるよ、と思っています。だけど、地域看護は。私が多分、誰よりも実践できるし、実践する自信があるし、それが世の中を、沖縄を、変えていくことにもなる。やるぞ。それは私にしかできない、と思っています。その感覚がプリンス的だとしたら、めっちゃうれしいです!

 

ーーーもちろん迷いもするし、失敗もするけど、私はこれをやる、沖縄を変える、世の中を変える、という意志をもてるというのは素晴らしいことだと思います。それができるかどうか、の結果よりも、そこを目指す、意識するというのは、自分という小船を、正しい方向に導くような気がします。いよいよ、ラストの3曲目になりますが、どのような楽曲にいたしましょう?

 

金城:新たなスタートをきる際にオススメの曲などありますでしょうか?今、新しいことをやろう!と思っていて。

 

―――では、こちらはいかがでしょうか?Can’t Stop This Feeling I Got

 

 

金城:めっちゃいいですねー。ノリノリになりました♪息子も踊り出して、私も踊り出して、、、♪そのままチャンネル登録して、連続でプリンスの世界を楽しませていただいています。ありがとうございます。なんか、プリンスの曲は一曲一曲が短編の映画のようですね。曲そのものにストーリーを感じるというか、、、すごいパワーです。

 

ーーー息子さんまで!嬉しいことですね。金城さんが「新しいスタートを切る」とおっしゃって。きっと何か前向きなイメージが浮かんだのかな?なんて思いまして。「このフィーリングを止められない!」ってタイトルを選んでみました。

 

金城:ありがとうございます。

 

―――この曲の途中で、語りの部分があるでしょう?Padon Me 4 living....から始まるんですが「生きてて悪かったな、でも、これがオレの世界だ。お前にオレを変えることはできない。変えなきゃならないのは・・・俺たちのブレイン(考え方)だ」ってメッセージがあってですね。金城さんが「コミュニティー・ナース」という使命を通じて、沖縄を、世の中をよりよくしていこう!と思われる「志」に通じるものがあるなぁ、なんて思ったんです。

 

金城:そうですね、この曲を何度か繰り返し聴くうちに、曲の感じがワクワクと、良い意味でのプレッシャーもかけてもらった感じもしました。「世の中を変える!」というでっかい志はもちろん抱えてる、やること、やれることは見えているんだけれども、社会にとっては「早熟」にならないだろうか、と。

 COVID19の影響下で、社会のベクトルの方向がグンっと変わった感じがしていて。強制的に社会の舵がきられて、私にとってはチャンスだな、と思う反面、社会的な「成熟」にはなっていないことも感じていて。今まで「早く変わってほしいな」を見守りつつ、自分のできることを、できることから、できるだけ実行していましたが、それが全然予想してないカタチで望むように舵がきられたけれど、でも、それはそれで社会としては良いのかな?と少し不安になったりもして。Can't Stop This Feeling I Got を聴きながら、ワクワクと、ちょっとした、焦り?に似たような不安?も感じました。

 新しくスタートするときはそんな気持ちはつきものなのかもしれませんが、ちょいビビっているのでした。「焦り」、というか、「畏怖感」ですかね。テンポが良いからなのかもしれませんが、ワクワクの中に、ちょっとドキドキのエッセンスも感じたんです。

 

ーーーそのご感想は、逆にこの曲の本質に近いかもしれません。というのも、「こんな素晴らしいフィーリング、伝えたい」って思ったのは誰か?といえば、それはもうプリンス本人なのですが、じゃあ、彼想い描く理想の世の中にすぐなるのか?と言えば、答えはNOなわけです。曲にして、レコーディングして、発表して、すぐにそうなるようなら、それは大した理想でも志でもないわけじゃないですか。だから、金城さんのおっしゃる不安というのは、ついて回ると思うし、プリンス自身も、そう簡単にいくことじゃないってわかってたからこそ、自分を鼓舞する意味でも「このフィーリング」をサウンドとして記録しておきたかったように僕は思うんです。

 例えがあれですが、夏のキャンプの肝試しで、明るい歌を歌いながら墓地の暗闇を歩くような感覚、というか。

 

金城:そうそう、そんな感じですね。ワクワクとドキドキ。でも、一歩踏み出す、やらずにはいられない、希望を持って。という感じです♪

 

ーーー初めてこの曲を聴いていただいて、「ただ明るいだけの能天気なロックじゃない」って理解された金城さんの感性には正直驚きました。彼の世界はいつも、暗闇の中の希望だったり、制約の中の自由だったりを描くところがあるので。今、4月下旬のコロナ問題の真っただ中で、どんなフィーリングを得るのか?絶望するか、希望を見つけるか?そこは問われてるような気がします。1990年発表の楽曲なのに、金城さんとの会話でこの曲に新しい意味が見つかった気がします。

 

金城:いや、ホント、今まさに必要な音楽がプリンスのような気がしています。

 

ーーー金城さん、今回は、食わず嫌い王子にご参加くださり、誠にありがとうございました。プリンスファミリー関連作品1曲、プリンスの楽曲2曲を聴いていだきながら、いろんな対話をさせていただきました。プリンスの世界に触れてみた、率直なご感想を頂ければ幸いです。

 

金城:率直な感想。ホント、率直な感想になりますが、「あ、出逢うべくしてプリンスに出逢ってしまったな」と思いました。なんだか、逆になぜ今まで私がプリンスに出逢ってなかったのかが不思議なくらいでした。曲もそうですが、もっともっと彼自身について知りたいな、と思っています。曲自体にも幅があり、なんでもできる感じが伝わってきます。チャレンジングな姿勢、なんでもやってみようという姿勢と、僕はなんでもできるはずさ、という自信、、、というか。

 今の社会や、今の私にとってもものすごく必要な音楽のような気がしています。これも直感的なのですが、この企画自体がもプリンス的、というか。「自分にしかできないコトをやる」「他の誰かがやっているコトは他の誰かがやってればいい」的な。それを見失いがちになりそうな今だからこそ、今のこのタイミングでこうしてお話ができたこと、ホントにありがたいなぁと思っています。

 やれることをやっていく。自分を信じて。プリンスの曲を聴きながら、ちょっとwithコロナ時代以降のコミュニティナースでの働き方を考えてみようと思いました。すんごい後押ししてもらえそうです。この3曲だけでもすんごいパワーと気づきをいただきました!

 

―――僕も、この対話から、沖縄文化の素晴らしさはもちろん、今後の医療やリハビリのあり方のヒント、美しさや信じること、不安と希望、そして自分らしさ。いろんなテーマが見つかったように思います。プリンスがヒットを連発していた時期や、ライヴをガンガンやってた時期は、ある意味、影響を受けやすいわけですけど、リアルタイムから数年が経過してもなお、「出逢いのきっかけ」と「ストーリー」さえあれば、時と場所を超えて人生応援歌としても機能するんだということがとてもよくわかりました!

 そして、金城さんという新しい生き方を目指す女性と、プリンスの生き様がシンクロして、プリンスを通じた仲間というか同志のような気がしてくるから不思議です。これからもますます金城さんらしく、フィーリングを信じてBeautifulに沖縄を走ってくださいね!ありがとうございました!

 

金城:ホントに素晴らしい時間をありがとうございました!「プリンス」の存在からたくさんの話題になって、しかもそれが全部繋がっていて。プリンスは今ここ、にはいないけれども、確実に私たちに出逢いとつながりと未来を与えてくれたわけで。なんか「生きてるってなんだろう〜」って思いました。この出逢いを大切に、これからまだ出逢ってないプリンスと出逢っていきたいと思います。ありがとうございました!

 

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