パープルインタビュー/NPG Prince Site KID氏 情報系01

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日本語で「プリンス」「曲名」を入力すれば、必ず上位に出てくるサイト、【NPG Prince Site】、その膨大な情報量と客観性を忘れない解説は、数え切れないくらい多くの人たちのガイドとなってきた。日本語圏における最大のプリンス情報データベースをリアルタイムで更新し続けるその情熱はどこからくるのか?オーナーであるKIDこと松下康博氏にお話を伺った。


――まずはプリンスを聴かれるようになったきっかけから教えてください。

 最初に聴いたのは学生の頃、AMラジオから流れてきたI Wanna Be Your Loverでしたその番組ではEW&Fとかディスコ・ソングが流れてて、その中の一曲だったんですが、プリンスのファルセットに魅了されました^^
 
 

 
――I Wanna Be Your Loverがファーストコンタクトだったんですね!それから、どんな風にハマっていったのですか?

 その時は単に好きな楽曲の1つ程度だったんですが、Dirty Mindがリリースされた頃にまたラジオで流れてきて、これでハマってしまいレンタル・レコード屋に借りに行きました。
 その時、初めてプリンスの容姿をアートワークで知る事になり衝撃が走りました!あまりにも声と容姿のギャップに・・・
 

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――ショックを受けた、と(笑)その衝撃は、どちらの方向にいったのですか?

 最初は”ビキニ・・・”って感じでしたが、良くも悪くも私が聴いてた頃は音楽雑誌やMTVが無かったので、それ以上の情報が入らないので純粋に音だけで好きになりました。
 元々、カーティス・メイフィールドが好きだったので、プリンスのファルセットが気に入ったってのもあるかもしれません。Controversy→1999と毎年アルバムをリリースしてくれてたので、毎回ワクワクしながらアルバムを聴いていました。

――純粋に音楽で判断できた時代だったんですね!ずっとプリンスを聴いてきて、プリンスの凄さ、魅力ってズバリ、どんなところでしょう?もちろん語りつくせないのは十分わかっておりますが(笑

 難しいですね・・・小柄な体から繰り出される音域の広いヴォーカル、そして毎回新しい事にチャレンジするサウンドに魅了されました。実は映像を見るのは少したってからなんで、最初はとにかく音先行でした。初めて見たのは中学生頃に地元熊本で放送されてた”かなぶんやのサタデー・ミュージック・スペシャル”で、そこでPVを見て、また衝撃!
 ビキニパンツで踊ってるプリンスを見てビックリしたんですが、もうその時すでにファンになってたので多少戸惑いはあったけど気持ちが揺らぎませんでした。1980年位だったのでDirty Mindを筆頭にまとめて色々見たって感じでした。
 
 


ーーーいちばんアヴァンギャルドな時期じゃないですか!素晴らしいです。ご自身のサイトで、ずっとプリンス、またプリンス関連の情報をご紹介されています。あれだけの情報量をずっと追いかけ続けるのは大変だと思うのですが・・

 今だとネットで簡単調べられるけど、あの当日は情報も少なく音楽雑誌でも取り上げられる事も少ないから大変でしたね~。ですので、レコード屋の店員さんとお友達になって情報もらったりしてました。あとはレコード棚をAから順に見ていき、雰囲気が似てそうなのを見つけたら裏面のクレジットみたりしてました。

――そのようなご苦労があったんですね!松下さんのサイトで情報を得られた方は、物凄い数に上ると思います。本当にありがとうございます。プリンスのみならず、プリンスファミリーや関連の人たちもフォローされていますが、そのあたりの魅力とは?

最初のとっかかりはThe TimeやVanuty 6でした。そこでプリンス・サウンドだけど自分で表現出来ないサウンドを展開してると解り、魅了されて行きました。

―――このアルバムは聴いておくといいよ、という推薦があればぜひ教えてください!

 時代毎に色々良いアルバムがあるから難しいですね・・・聴く相手の好みもあるけれど、Madhouseの「8」と「16」かな?エリック・リーズと出会いエリックからマイルスを勧められた事でプリンスがジャズ・サウンドにのめり込むキッカケ的な作品ですよね。
 


 
 色んなサウンドを吸収したプリンスだけどジャズはずーっと根底に流れていて、このアルバムが後々「Xpectation」や「NEWS」等に発展していったと思います。この辺から音楽の幅がグッっと広がりましたよね。

―――確かにそうかも知れないですね!90年代のプリンス・プロデュース作品はいかがですか?一般的にはあまり知られていない現状があるとは思うのですが・・・

 90年代は新しくNPG Recordを設立した大きな波でしたね。チャカ・カーンやラリー・グラハムとか当時レーベルに見放されたアーティストを迎え入れ救済したのは印象的でした。
 
 

 
 この他にもメイヴィス・ステイプルズ、ザ・スティールズ、サウンド・オブ・ブラックネス等、数多くのアーティストをプリンスが救済した年代だと思います。自身のレーベル以外にも一番外部にプロデュースした年代ですよね。

 ジョージ・クリントンみたいな大御所がいるかと思えば、エリサ・フィオリオやマルティカポーラ・アブドゥルみたいなアイドルまで、とにかく多彩なアーティストをプロデュースしてましたね。1曲だけプロデュース、のケースを含めると40組以上いますから。ビックリです!

――40組以上!90年代も新人からベテラン復活サポートまで、重要な活動をしていたんですね!松下さんは、『プリンスの言葉』の書籍のチームメンバーとしてもご活躍いただいたのですが、多国籍軍によるプロジェクトに参加してみていかがでしたか?

 私より豊富な知識をお持ちのファンがいる中で、お声かけいただき大変光栄な事だと思ってます。参加する事で色んな方のプリンスに対する思や自分では気づかなかった新しい発見が出来てる事は本当に楽しいです。

 特に今回の書籍のプロジェクトで歌詞、リリースされた時代背景等を調べていく事で、プリンスが伝えたかった事を再発見出来たのは有り難かったです。個人的には、このプロジェクトや自身のサイトで追悼コメントをまとめる事で、ショックを少し和らげる事が出来ました。もし何もやってなかったら途方に暮れてる日を過ごしたと思います。

――膨大な蓄積、そしてご自身のサイトでの情報発信に感謝しています。多くの方がプリンス・ロスにさいなまれている中、追悼コメントの作成も本当にお疲れ様でした。松下さんの蓄積が、多くのファンの皆さんに勇気を与えていると思います。それでは、最後にPurple Universityをご覧の皆様にメッセージをお願いいたします。
 

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 4/21に起こった"ミネソタの悲劇”は未だ信じられない事で”実はペイズリー・パークでこっそりレコーディングしてるんじゃないか?”ってつい頭をよぎってしまいます。
 悲しみはなかなか癒えませんが、私自身はこれからも彼の作品を聴きながら新しくfamになってくれる方の道しるべ的なサイトを目指して運営していこうと思います。

―――貴重なお話の数々、どうもありがとうございました。

こちらこそありがとうございました!

NPG Music site
http://www.npg-net.com/prince/
 

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「The Beautiful Ones プリンス回顧録」推薦の言葉 

プリンスが書いたのはたったの28ページ、スーパーボウルまでを書くと発表されていた事を考えると曲にしてみればAメロどころかイントロにも満たないラフなメモ。完璧主義のプリンスにとって未完成過ぎる作品ですが、冒頭の一音目から繊細且つ衝撃的な言葉選びはプリンスらしい歌詞の様で、もし完成していれば回顧録として革命が起きていた事は想像に難くなく、隣で追体験するような感覚に浸る事ができるダン・パイペンブリング氏による序章も素晴らしいです。翻訳をされた押野素子さんに感謝します。

――KID(http://npg-net.com運営・書籍『プリンス・ファミリー大全』監修者/執筆者)

 

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